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【民法攻略】第4回 成年被後見人・被保佐人・被補助人

投稿日:2017年9月19日 更新日:

民法

制限行為能力者の制度には「未成年者」「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」の4つがあります。

前回解説した未成年者は20歳未満であれば何も申請しなくとも制限行為能力者として扱われますが、成年被後見人・被保佐人・被補助人は家庭裁判所の審判を受けることで制限行為能力者となります。

この記事では、成年被後見人・被保佐人・被補助人のそれぞれの違いについて解説していきます。

 

 

 

成年被後見人

(後見開始の審判)
第七条 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。

成年被後見人の要件

  1. 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者
  2. 家庭裁判所の後見開始の審判を受けた者

この2つの条件に当てはまるもののことを成年被後見人と言います。

成年被後見人には保護者として成年後見人がつけられます。

成年後見人が代理として財産の管理をしたり契約などの法律行為を行うことで、成年被後見人を保護・支援する制度です。

 

事理を弁識する能力

難しい言葉を使っていますが、自分の行動の結果や財産の管理を判断・予測する能力のことを言います。

意思能力は、この事理弁識能力のことだと解されています。

参考ページ → 権利能力・意思能力・行為能力

 

成年後見人ができること

成年後見人には以下の権限があります。

  1. 代理権
  2. 取消権
  3. 追認権

それぞれの言葉の意味を思い出せなかったら、未成年者の解説の記事を読み直してみてください。

民法
【民法攻略】第3回 制限行為能力者〜未成年者

こんにちは。たかゆいです。民法攻略の第2回では行為能力について解説しました。 簡単にまとめると、意思能力が不十分な人など ...

 

他の制限行為能力者と違い、成年後見人には同意権がありません

成年被後見人は事理弁識能力を欠く常況にあるので、成年後見人が同意を与えても期待した通りに行動できないためです。

 

成年被後見人の行為能力はかなり制限されている

成年被後見人 行為能力

成年被後見人の法律行為は取り消すことができます。

ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については成年被後見人単独で行うことができ、取り消すことができません。

また、意思能力が一時的にでも回復している間であれば、婚姻などの身分行為をすることができます。

 

被保佐人

(保佐開始の審判)
第十一条 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる。

ただし、第七条に規定する原因がある者については、この限りでない。

被保佐人の要件

  1. 精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者
  2. 家庭裁判所の保佐開始の審判を受けた者

被保佐人の保護者は保佐人です。

成年後見制度とは違い、保佐人が代理をするのではなく被保佐人の行為へ同意をすることが基本となります。

 

保佐人ができること

保佐人の権限は以下の通り。

  1. 同意権(13条1項に列挙されている行為+家庭裁判所の審判で同意権を付与した行為)
  2. 取消権
  3. 追認権
  4. 代理権(代理権付与の審判がされている場合のみ)

代理権付与の審判には、本人の請求か同意が必要です。

被保佐人の行為能力は一部制限される

被保佐人は原則として単独で法律行為を行うことができます。

例外として、13条1項各号に列挙されている行為をする場合などには保佐人の同意がないと行えません。

(ちなみに13条1項の列挙行為は借財や不動産の売買など、重要なものが列挙されています)

 

同意なしに列挙行為等を行った時は、その行為は取り消すことができます。

ただし、成年被後見人と同様に日用品の購入その他日常生活に関する行為については取り消すことができません。

 

参考

13条1項各号の列挙行為は以下の通りです。余裕があれば押さえておきましょう。

  1. 元本の領収・利用
  2. 借財、保証をすること
  3. 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為
  4. 訴訟行為
  5. 贈与、和解、仲裁合意をすること
  6. 相続の承認・放棄、遺産の分割をすること。
  7. 贈与の申込み拒絶、遺贈を放棄、負担付贈与の申込み承諾、負担付遺贈の承認
  8. 新築、改築、増築、大修繕をすること
  9. 民法第602条(短期賃貸借)に定める期間を超える賃貸借をすること

 

被補助人

(補助開始の審判)
第十五条 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第七条又は第十一条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。
2 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。
3 補助開始の審判は、第十七条第一項の審判(同意権付与の審判)又は第八百七十六条の九第一項の審判(代理権付与の審判)とともにしなければならない。

被補助人の要件

  1. 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者
  2. 家庭裁判所の補助開始の審判を受けた者

被補助人の保護者は補助人です。

補助開始の審判は本人の請求か、そうでない場合には本人の同意が必要となります。

また、補助開始の審判だけでは同意権も代理権も付与されませんので、同意権または代理権付与の審判を一緒にしなければいけません。

これはどちらか片方のみでも、同意権・代理権の両方でも問題ありません。

 

補助人のできること

  1. 同意権(同意権付与の審判をした場合)
  2. 取消権(同意権が付与されている場合のみ)
  3. 追認権(同意権が付与されている場合のみ)
  4. 代理権(代理権付与の審判をした場合)

同意権付与の審判をした場合と代理権付与の審判をした場合とで補助人の権限が変わってきます。

 

被補助人の行為能力は制限されない場合もある

同意権付与の審判がされている場合の被補助人は、同意権が付与されている行為については単独で行うことができず補助人の同意を必要とします。

これは保佐制度と同じですね。

 

一方で、代理権付与の審判のみがされている場合の被補助人の行為能力は制限されません

補助人が代理として被補助人の法律行為をすることももちろんできますが、被補助人本人も一人で有効な法律行為をすることができます。

 

制限行為能力者の保護者は複数・法人もOK

未成年者のページでも解説しましたが、制限行為能力者の保護者は複数いてもかまいませんし、法人もなることができます。

 

ほかの制限行為能力者の審判をする場合には取消しが必要

ネコさん
今は保佐の制度を使ってるけど、症状がひどくなってきたから後見開始の審判をしたい
じゃあ保佐開始の審判を取消してもらおう
ウサギくん

成年後見制度、保佐制度、補助制度はそれぞれ対象としてる障害の程度が違うため、重複して利用することができません。

被保佐人となっている本人が後見開始の審判をするときには、保佐開始の審判を取消す必要があります。

これは本人が成年被後見人であるときも、または被補助人であるときにも同じです。

 

原因が消滅した場合も開始の審判を取消す

原因となった障害が消滅した場合も、後見・保佐・補助それぞれの開始の審判は取り消さなければいけません。

事理弁識能力が回復し、自らで判断・財産管理ができるのなら、行為能力を制限しておく必要もないからです。

 

制限行為能力者制度まとめ

いかがでしたでしょうか。

後見制度、保佐制度、補助制度はそれぞれ似たような制度ですが、障害の程度や保護者の権限が異なります。

前回の未成年者も合わせて簡単にまとめるとこんな感じ。

   要件 保護者 保護者の権限
未成年者 20歳未満 法定代理人 同意権・取消権・追認権
代理権
成年
被後見人
事理弁識能力を欠く常況 成年後見人 取消権・追認権
代理権
被保佐人 事理弁識能力が著しく不十分 保佐人  同意権・取消権・追認権
(代理権)
被補助人  事理弁識能力が不十分 補助人  同意権・取消権・追認権
または代理権

それぞれの制度の比較の視点が大切です。意識しておきましょう。

 

たかゆい
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